接触-振動連携解析
(ver17 one-through) モデル:3bolts
下薗 征史 博士(工学) インテスジャパン株式会社 代表取締役
名前 肩書
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1 概要
ダミーテキスト‥‥‥
2 接触圧の影響を考慮した振動解析
2.1 接触-振動解析を行う理由
本研究の主な目的は、周波数応答解析を、ものづくりの現場での使用を想定し、計算時間が現実的であり、計算精度が実現象を高い精度で トレースできる、接触-振動連携解析手法の確立を目的としている。今日、有限要素法をベースにした数値シミュレーションによる検証は、 ものづくりの現場ではスタンダードな手法である。 従来の計算では、部品間の境界面は、そのままMPC(多点拘束)で結合された計算モデルを加振することにより、 応答特性を評価していた。そのため結合部は現実よりも高い剛性を示すこととなり、動的挙動の正しい評価も困難であった。 近年、いくつかの汎用構造ソルバーでは、上記の結合剛性の問題を克服するために、静的解析の結果として得られる接触状況を利用し、 接触/非接触でMPC結合のオン/オフをスイッチングする機能が新たに実装された。本機能を使用する場合、境界面における接触状況を厳密に表現するために、 なるべく詳細な要素分割が求められるが、振動試験で得られる応答特性を、比較的高い精度でシミュレートできる有効な手法として期待できる。 上記手法を用いることで、応答伝達関数の精度面に対する問題は大きく改善されるものの、接触面の節点数の増加に伴い、接触計算の負荷が高く なるという問題に直面する。つまり、精度を求めれば計算コストが犠牲になるという一種のトレードオフ問題に陥る。 また、摩擦を伴う接触問題になれば、接触自由度の増大はより深刻な問題になる。 本稿で提案する接触-振動連携解析の手法は、計算の精度と速度のトレードオフ問題の解決について、有効な手法と考えられる。 ここでは、動的応答試験の結果と解析結果の比較を行い、本稿で提案する解析手法の妥当性を検証した。
2.2 【接触-振動解析の計算プロセス】
図-1に、ブレーキのアセンブリモデルを用いた接触-振動連携解析の計算プロセスを示す。4つの計算ステップは、1つのジョブ内で、 接触解析、線形静解析、固有値解析、周波数応答解析の順に連続的に実行することが可能である。 ただし、振動試験で得られた応答関数に対するカーブフィッティングを行う場合、1.3で説明する界面要素の材料パラメータのための スタディがある程度必要になることから、スタートのステップ1に戻らず、途中のSTEPからリスタート(再計算)を行っている。 このリスタート機能を積極的に用いることで、動的な材料特性の変更を行った計算時間は大幅に短縮され、材料特性の同定プロセスの高速化 が図れる。動的剛性の変更の場合はリスタート①、減衰定数の変更の場合はリスタート②からの計算の実行が可能である。
3 接触解析(Contact Analysis)
3.1 接触解析手順①
接触及び、ボルトスレッド締結力の分布を得る(→ファイル出力)。
接触面を「PLATE_M」/「PLATE_S」、ボルトスレッド3本の接触面をそれぞれ
「BOLTTHREAD1_M」/「BOLTTHREAD1_S」
「BOLTTHREAD2_M」/「BOLTTHREAD2_S」
「BOLTTHREAD3_M」/「BOLTTHREAD3_S」とする。
またボルトヘッドの拘束面「BOLTHEAD_M」/「BOLTHEAD_S」、底面の拘束面「BOTTOM」を行う事とする。
3.2 接触解析手順②
計算結果から出力されたRigid body modesの数に応じて微弱バネを上面に張る。
接触解析結果をVisPERで読込む。
3.3 .uciファイル
- *接触解析の手順*
- 1) 接触解析(ボルトプリテンションの締結)を行う。
- 2) Rigid body modesで出た数に応じて微弱バネを張る。
- 3) ファイル(接触解析結果)を生成させる。
4 固有値解析(Eigen Value Analysis)
4.1 固有値解析手順
接触・ボルトプリテンション締結をMPCへ書き換え(Contlockの記述の追加)を行う (→ファイル出力)。
コントロック・固有値解析結果をVisPERで確認する。
4.2 .uciファイル
- *コントロック・固有値解析の手順*
- 1) コントロックの記述追加・固有値解析を行う
- 2) ファイル(コントロック・固有値解析結果)を生成させる
5 周波数応答解析(=FRF(Freguency Response Analysis))
5.1 周波数応答解析手順
加振・応答点を記述する(→ファイル出力)。
周波数応答解析結果をVisPERで確認する。
5.2 .uciファイル
- *周波数応答解析の手順*
- 1) 周波数応答解析を行う。
- 2) ファイル(周波数応答解析結果)を生成させる。
■ 全面MPC と minpress50 との比較の参照はこちら ■
6 計算結果の考察と結論
6.1 計算結果の考察
3の静的解析の計算結果により、接触解析の結果は、3.2(step1 -7)の相当応力の分布状況より、 ボルトスレーブのパーツに伝達し、締結力が正しく伝わっていることが、モデルの断面図などから視覚的に確認できる。 また、4.1(step2 -3)で得られたContlockのモデルから接触面がMPCで結合したモデルに変更された事が視覚的に確認できる。
6.2 結論
本稿で提案した、モデルに対する接触圧を考慮した振動解析を行った。 得られた知見をまとめると以下のようになる。
- 1) 接触解析から周波数応答解析に至る、複数の解析タイプの計算を30分程度で行えることが分かった
- 2) 界面要素の動的特性を得るためには、材料パラメータの同定がある程度必要であるが、接触-振動解析における一連のプロセスを、 途中の段階からスキップすることで、時間短縮が図れることが分かった
- 3) MPCの範囲が狭いほど、解析結果の精度が高くなる
よって、図-3の周波数応答関数の比較より、minpress50 > minpress0 > all-MPCの順に精度が高くなる事が分かった